| 週刊 『クリスチャン新聞』
2007年6月3日号=9面=掲載 |
『現代を創造的に生きるために』河野勇一著 (いのちのことば社、1,260円税込)
タイトルを見て、人は思わずこの著を手にとるであろう。「現代」(いま)、人は「創造的に生き」たいと深く願っているからである。しかし次の瞬間、この著が創世記1〜11章を素材にした黙想集であることを知るとき、あるいは意外に思うかもしれない。創世記などは、「現代」からほど遠いというのが一般的印象だから。しかし著者は、これらの章が現代人に深く語りかけていることを簡潔な文章で説き明かし、人間の根源的な諸問題を、テキストを鏡にしながら網羅的に扱っている。
まず神に呼び出され、神との人格的経験をした者のみが、この世界の由来を神の創造によるものだと洞察し、その混迷にもかかわらず、恵みの中を感謝と喜びのうちに生きる、と教えている。
また、現代人が直面している深い問いは人間とは何かということであろうが、著者は人間創造の記事から聖書に聞き、本来の「神のかたち」であるキリストを知るとき、自分が「神のかたち」として造られた「気高い存在として見る根拠が与えられる」と答える。実に積極的な人間理解である。
さらに、「終末が近い、終末が近い」と「騒ぎたてて」いる現代、著者は「世の終わり」の来ることは「7日目」の記述から察知することができるがそれは「単なる終わり」ではなく、主の再臨を機に「もっと素晴らしい新天新地を造」られる「新しい日の夜明け」と展開している。ノアの記事にも同様の観点が述べられ、神にある希望が語られる。
52の黙想という体裁は、著者が牧する教会の礼拝でなされた講解説教の凝縮である。見開きで「1日分」、あるいは「1週間分」の現代的霊の糧を得ることができる。深く豊かな内容がコンパクトにまとめられているが、著者の労のあとを見る思いがする。現代的諸問題を鋭く意識し、旧新約を組織神学的に見つつ、一般学的知見の広さなどを背景にしながら、全体を黙想の形にする。「世界と人間」について混迷を経験しているこの現代に向かって、創世記を語らせている意義深い著作だ。
(評・橋本昭夫=神戸ルーテル神学校校長) |
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